運転資金が足りないときは、この順に確認する
まず、直近の支払いと使える残高を確認する
現預金残高と、これから支払う仕入代金・外注費・給与・家賃・税金・社会保険・借入返済を日付順に並べます。残高のうち既に使途が決まっているお金も考慮し、支払日ごとの不足額を確認します。
次に、入金予定と請求漏れを確認する
売掛先ごとに、請求書の発行・受領状況、入金予定日、未入金の理由を確認します。まだ受注していない売上、未承認の融資、未確定の補助金などを、確実に入る資金と同じ扱いで数えないようにします。
最後に、毎月繰り返す不足の原因を確認する
粗利益が十分か、固定費や在庫が増えていないか、入金までの期間が長すぎないかを見ます。一時的な入出金のずれと、事業を続けるほど資金が減る状態を分けて考えます。資金調達の費用や返済も含め、90日先までの入出金を確認します。
この後の7項目で、資金繰り表・売掛金・請求・支払条件・固定費と在庫・資金調達・補助金の順に具体的な確認点を説明します。
入金予定があっても、支払日に間に合うとは限らない
説明用に、使える残高が20万円、明後日の支払いが35万円、来週の入金予定が50万円と仮定します。他の入出金がなければ、来週までの収支では35万円残りますが、明後日の時点では15万円不足します。
このような場合は、不足する日付・金額と入金予定の根拠を把握し、金融機関や支援窓口へ早めに相談します。支払条件の変更が必要な場合も、一方的に期日を延ばすのではなく、契約や法令を確認して相手方と相談してください。
この計算は資金不足の時点を把握するための仮定であり、調達や支払条件の変更が実現することを保証するものではありません。
資金繰り改善とは?
資金繰りとは、事業における現金の入金と支払いを管理し、必要な時期に必要な資金を確保することです。
会社が利益を計上していても、売上代金がまだ入金されていなければ、手元の現金が不足することがあります。
例えば、
- 商品を販売
- 売上を計上
- 仕入先や外注先への支払いが発生
- 取引先からの入金は翌月または翌々月
という場合、帳簿上では利益が出ていても、支払いが先に来ることで資金繰りが厳しくなることがあります。
そのため、資金繰り改善では「利益」だけではなく、「現金が動くタイミング」を確認することが重要です。
1. 資金繰り表で将来の現金残高を確認する
資金繰り改善の基本は、今後のお金の動きを見える化することです。
資金繰り表では、例えば次の項目を月ごと、または必要に応じて週ごとに整理します。
- 月初の現預金残高
- 売掛金等の入金予定
- 現金売上
- 仕入代金
- 外注費
- 給与
- 家賃
- 税金、社会保険
- 借入金返済
- 設備代金
- その他の入出金
- 月末の現預金残高
将来の残高を事前に確認することで、
- 「来月末に資金が不足する可能性がある」
といった問題を早い段階で把握できます。
資金不足が発生してから対応するのではなく、数週間から数か月前に対策を検討できる状態を作ることが重要です。
2. 売掛金の入金時期を確認する
売上が増えていても、入金までの期間が長くなると資金繰りは悪化する場合があります。
例えば、
- 売上100万円
- 入金60日後
という取引では、売上を計上してから実際に現金が入るまで時間があります。
この間に仕入代金、外注費、給与等の支払いが発生すると、手元資金が減少します。
そのため、
- 取引先ごとの入金日
- 請求漏れ
- 入金遅延
- 長期未回収の売掛金
- 支払サイト
を定期的に確認することが重要です。
3. 請求書の発行と売掛金回収を早める
請求書の発行が遅れると、その分だけ入金も後ろにずれる可能性があります。
月末にまとめて請求するだけでなく、契約内容に応じて請求のタイミングを見直せる場合があります。
また、入金予定日を過ぎた売掛金については、そのまま放置せず、早めに状況を確認する必要があります。
確認したいポイント:
- 請求書を予定どおり発行しているか
- 請求内容に誤りがないか
- 取引先が請求書を受領しているか
- 入金予定日を把握しているか
- 入金遅延を早期に把握できる仕組みがあるか
4. 支払条件を確認する
資金繰りは、入金だけでなく支払いのタイミングにも影響されます。
例えば、
- 取引先からの入金:60日後
- 仕入先への支払い:30日後
の場合、30日程度の資金ギャップが発生します。
取引条件や取引先との関係によっては、
- 支払日の見直し
- 分割払い
- 仕入条件の見直し
- 前払いと後払いのバランス
などを検討できる場合があります。
ただし、一方的な支払延期は取引関係や信用に影響するため、契約や取引先との合意を前提に検討することが重要です。
5. 固定費と在庫を見直す
毎月必ず発生する固定費が大きいほど、一定額の現金を継続的に確保する必要があります。
代表的な固定費には、
- 家賃
- 人件費
- システム利用料
- リース料
- 保険料
- 継続契約サービス
などがあります。
一つひとつの金額が小さくても、積み上がると大きな支出になることがあります。
また、在庫を多く持つ事業では、現金が商品や材料として長期間滞留することがあります。
売れにくい在庫や過剰在庫がないかを確認し、必要以上に資金が固定化されていないかを見ることも重要です。
6. 資金調達は不足する前に検討する
資金繰り表で将来の資金不足が見込まれる場合には、早めに資金調達方法を検討します。
代表的な選択肢には、
- 銀行融資
- 日本政策金融公庫
- 信用保証協会付き融資
- ファクタリング
- ビジネスローン
- 増資等
があります。
それぞれ、資金調達までの期間、コスト、審査、返済の有無などが異なります。
短期的な入金と支払いのズレであればファクタリングが検討対象になる場合があります。
一方、中長期の運転資金や設備投資では、銀行融資や日本政策金融公庫などの融資が適する場合があります。
重要なのは、資金が完全に不足してから探すのではなく、資金繰り表で不足時期を予測し、時間に余裕がある段階から選択肢を比較することです。
7. 補助金を直近の支払い原資だけで考えない
補助金は事業投資を支援する制度ですが、制度によっては支出後の実績報告や審査を経て入金されるものがあります。
そのため、
- 「補助金に採択されたから、直近の支払い資金は問題ない」
とは限りません。
補助事業を行う際も、
- 支払時期
- 補助金の入金予定時期
- 自己資金
- 融資等によるつなぎ資金
を含めて資金繰りを確認することが重要です。
資金繰りが悪化している可能性があるサイン
以下のような状態が続く場合には、早めに資金繰りを確認した方がよい場合があります。
- 毎月の支払い直前に資金が不足する
- 税金や社会保険の支払いが負担になっている
- 売掛金の入金遅延が増えている
- 借入返済のために新たな借入れが必要になっている
- 支払日を頻繁に変更している
- 売上が増えているのに現金が増えない
- 取引先への支払いが遅れ始めている
一つ当てはまっただけで直ちに経営状態が悪いというものではありません。
ただし、複数の状態が継続している場合には、資金繰り表を作成し、今後の入出金を確認することが重要です。
まず90日先まで確認する
資金繰り改善を始める際には、まず今後90日程度の入金と支払いを整理すると状況を把握しやすくなります。
確認する順番の一例:
- 現在の預金残高を確認
- 売掛金の入金予定を一覧化
- 給与・家賃・税金・仕入・外注等の支払予定を一覧化
- 借入金返済予定を確認
- 30日後、60日後、90日後の残高を試算
- 資金不足が予想される時期を特定
- 回収・支払い・資金調達の対策を検討
この流れを定期的に更新することで、資金不足への対応を早めやすくなります。
自社に合う資金調達方法を確認する
資金不足への対応方法は、法人・個人事業主、売掛金の有無、必要金額、必要な時期などによって変わります。
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参考情報
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中小企業庁「金融一般支援」
政府系金融機関による融資や信用保証制度など、中小企業向けの資金繰り支援情報を確認できます。
-
中小企業庁「資金繰りに関するご相談」
よろず支援拠点、日本政策金融公庫、信用保証協会などの公的な相談窓口を確認できます。