比較表を見る前に、確認したい3つのこと
- いつまでに、手元へいくら必要か。 支払日と不足額を具体的に確認し、希望日までの入金可否をそれぞれの窓口に確かめます。
- その後の支払いを、何の入金で賄うか。 融資では返済予定を加え、ファクタリングでは売却後の入金予定を更新して、翌月以降も資金が足りるかを確認します。
- 資金化を検討できる売掛金があるか。 請求額・支払期日・取引内容・契約条件などを確認します。売掛金があるだけで買取可能と決まるものではありません。
売掛金の入金までの一時的な不足なのか、毎月の支出が入金を上回っているのかで、検討する内容は変わります。後者では、資金調達とあわせて利益・固定費・回収条件などの見直しも必要です。
金利と手数料率は、数字だけを並べて比べない
融資の年利と、売掛金の売却時に差し引かれる手数料率は、対象となる期間や計算の仕方が異なります。同じ「数%」という表示だけで、どちらが安いかは判断できません。
- 融資:借入額、金利、返済期間・方法、利息に加えて保証料や事務手数料などの有無。
- ファクタリング:買取対象額、費用の総額、実際の受取額、売掛金の入金までの日数、精算の方法。
比較するときは、希望する支払いを賄える手取り額と、契約ごとの費用総額を確認します。繰り返し利用する場合は、その都度かかる費用も資金繰り表へ反映してください。融資実行や買取、希望日までの入金は保証されるものではありません。
銀行融資とファクタリングの基本的な違い
銀行融資は、金融機関から事業資金を借り入れ、契約条件に基づいて元本や利息を返済していく資金調達方法です。
一方、ファクタリングは、企業や個人事業主が保有する売掛金などの売掛債権をファクタリング会社へ譲渡し、入金期日前に資金化する方法です。
つまり、
- 銀行融資 =「お金を借りる」
- ファクタリング =「売掛債権を売却して資金化する」
という点が大きな違いです。
どちらが優れているというものではなく、必要な資金の期間や金額、売掛債権の有無、資金を必要とする時期などによって適した方法は変わります。
比較表
| 項目 | ファクタリング | 銀行融資 |
|---|---|---|
| 基本的な仕組み | 売掛債権の売却 | 資金の借入れ |
| 主な資金の基礎 | 売掛債権 | 返済能力・事業内容・財務状況等 |
| 返済 | 通常の借入返済とは異なる | 原則として返済が必要 |
| 利用条件 | 売掛債権等が必要 | 金融機関の審査が必要 |
| 資金調達までの期間 | 比較的短期間のサービスもある | 審査・契約に時間を要する場合がある |
| 主なコスト | 手数料等 | 金利・諸費用等 |
| 向いている場面 | 短期的な資金繰り、売掛金の早期資金化 | 設備資金、長期運転資金など |
審査の考え方の違い
銀行融資では、一般的に事業内容、財務状況、返済能力、過去の取引状況などを総合的に確認したうえで融資可否が判断されます。
一方、ファクタリングでは、利用者だけでなく、対象となる売掛債権や売掛先の信用状況などが重要な確認要素になります。
そのため、同じ会社が申し込んだ場合でも、銀行融資とファクタリングでは審査結果が異なることがあります。
ただし、ファクタリングであれば必ず利用できるというものではありません。
売掛債権の存在、契約内容、売掛先、支払期日などを確認したうえで、各サービス提供会社が判断します。
資金調達までのスピード
ファクタリングには、オンライン申込みなどにより比較的短期間で資金化できるサービスがあります。
そのため、
- 「取引先からの入金は来月だが、今月中に外注費を支払う必要がある」
- 「材料費の支払いが先に発生する」
といった短期的な資金繰りで検討されることがあります。
銀行融資の場合は、申込み後に審査、必要書類の確認、契約手続きなどが行われるため、一定の期間を要するケースがあります。
ただし、実際に必要となる期間は金融機関やサービス、申込内容によって異なります。
- 「ファクタリングなら必ず即日」
- 「銀行融資は必ず時間がかかる」
というものではありません。
コストの違い
銀行融資では、一般的に借入金額や期間などに応じて金利が設定されます。
ファクタリングでは、売掛債権の買取にあたり手数料等が発生します。
そのため、単純に「手数料」と「金利」の数字だけを比較するのではなく、
- 必要な資金額
- 必要な期間
- 資金化までのスピード
- 実際に受け取れる金額
- 利用後の資金繰り
まで含めて判断することが重要です。
短期的な資金需要に利用する方法と、中長期にわたって利用する資金調達方法では、適切な比較方法も異なります。
返済と負債の考え方
銀行融資は借入れのため、契約した返済スケジュールに従って元本や利息を返済していくことになります。
一方、一般的なファクタリングは売掛債権の売買であり、通常の借入返済とは仕組みが異なります。
ただし、ファクタリング契約の内容によって条件は異なります。
特に、実質的に利用者へ返済を求める内容になっていないか、買戻し義務等がどのように定められているかなど、契約内容を十分に確認することが大切です。
ファクタリングが検討しやすいケース
例えば、
- 「売掛金はあるが入金まで時間がある」
- 「外注費や材料費などの支払いが先に発生する」
- 「短期的な資金繰りを改善したい」
- 「銀行融資とは別の資金調達方法も持っておきたい」
といった場合には、ファクタリングが検討対象の一つになります。
一方で、売掛債権がない場合には基本的にファクタリングの対象になりません。
銀行融資が検討しやすいケース
例えば、
- 「設備投資のためにまとまった資金が必要」
- 「長期間使用する運転資金を確保したい」
- 「返済計画を立てながら事業拡大のための資金を調達したい」
といった場合には、銀行融資が選択肢になりやすいと考えられます。
創業時や中小企業向けには、日本政策金融公庫や各種制度融資などが利用できる場合もあります。
どちらか一方に決める必要はない
事業の資金調達では、銀行融資かファクタリングのどちらか一方だけに限定する必要はありません。
例えば、
- 中長期の運転資金 → 銀行融資
- 一時的な入金と支払いのズレ → ファクタリング
というように、資金需要の性質に応じて使い分ける考え方もあります。
重要なのは、「いくら必要なのか」「いつまでに必要なのか」「何のための資金なのか」を整理したうえで、複数の選択肢を比較することです。
ファクタリングの仕組みを詳しく知りたい方へ
ファクタリングの基本的な仕組み、2社間・3社間の違い、利用前の注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。
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参考情報
-
金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」
ファクタリングの法的位置付けや、契約上の注意事項等について確認できます。
-
日本政策金融公庫「金利情報」
日本政策金融公庫の融資制度における金利情報等を確認できます。